こんにちは。storyIの猪俣恭子です。
前回では、Oさんという方からコーチトレーニングプログラムのクラスコーチを目指してほしいとリクエストされたことと、笑いながらごまかしたもののOさんから「本当にそう思っていますか?」と問いかけられ、はっとしたというエピソードをお伝えしました。
「本当にそう思っていますか?」という質問は、相手のできる可能性を信じた、大きな「期待」と「愛情」を込めた「クローズド・クエスチョン」です。
「きっとあなたはできる人」と相手を信じているからこそ、「本当にそう思っているのか?」と真意を迫ることができます。
人はリクエストを受け、それに応えながら「ここまでしかできないだろう」と自分で設定した限界を超えていけるようになります。
しかし、ありきたりでない大きなリクエストは、「相手にはそのリクエストに応えるだけの力がある」と信じていなければできません。
それがOさんから伝わったからこそ、私も勇気をもって自分の本心をあらわにすることができました。
そうして、意欲と行動を自ら引き出せたのです。
自分の限界は、自分ではなかなか打ち破れません。
あなたの目の前の部下は、どんな限界を持っているでしょう。
「これだけの期間でこれだけの数字を出すなんて、無理です」
「私がプロジェクトリーダーなんて荷が重すぎて、無理です」
「私が新入社員の指導係だなんて、無理です」
限界をつくっている部下の理由は、いくらでもあります。
まずはそれを否定しないことです。
「いや、そんなことはないでしょう」と説得に入る前に、質問してみてください。
「本当にそう思っていますか?」と。
その限界は、本当に打ち破れないものなのかどうかと。
相手の答えは、私のように「いいえ」かもしれませんし、少し悩んだあげく「はい」かもしまれせん。
「はい」であれば
「どのあたりが難しいと思いますか?」
「どのあたりが不安に感じますか?」
など、相手の気持ちを整理してあげてください。
部下はそうして話しているうちに、あいまいなものがはっきりしてきます。
できそうもない、と一瞬は思ったけれど、冷静に状況が整理されると「今までよりも、ほんの少しの努力でできそうだな」と思うかもしれません。
「こんなサポートがあれば、自分にもできるかもしれない」と思うかもしれません。
何が「無理」と思わせていたのか、話しながら部下は気づいていきます。
あなたが聞き上手になって、聞いてさえいれば。
結局、部下が断る結果になったとしても、そういうやりとりの時間をつくってくれたあなたに信頼を寄せるでしょう。
その信頼が、部下の次の行動をうみだします。
必ず。
どうぞおそれないで、部下に「どんな行動をとってほしいのか」「どうなってほしいのか」、期待と愛情を込めてリクエストしてください。
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