こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

コーチングや研修で、管理職やリーダー、OJTを担当される方に

「部下とどんなコミュニケーションをとりたいですか?」

と訊ねると、

「部下が目標達成できるようなコミュニケーション」

と話される方がとても多いです。

私たちがどのように関わったら、部下は自ら目標達成したくなるでしょうか。

そのことを考える前にまずふれておきたいことがあります。

そもそも「目標」のように未来のことをさす言葉には、いくつか似た言葉があります。

例えば「ビジョン」「目的」「ゴール」ですが、今回はそれぞれの定義をしていきたいと思います。

「ビジョン」とは「実現したいことが実現したときのイメージをクリアに描いた未来の青写真」を言います。

「目的」は「なんのために」、「ゴール」は「最終到達地点」、「目標」は「行動を進めるうえでの達成を示す水準、目安、目印」という意味があります。

例えば、フルマラソンに挑戦するとしましょう。

「目的」は…

  • 健康のために走る
  • 達成感を味わうために走る
  • 努力すればできるということを、自分の子どもに見せるために走る

など人によって様々です。

この場合の「ゴール」は42.195㎞先の最終到達地点。

スタート地点に立ったときに「さあ、目指すは42.195㎞先のゴール!」と気合十分だったとしても、一方で

  • 「最後まで走り切れるだろうか」
  • 「途中で走れなくなるんじゃないか」
  • 「苦しくなってきたらどうしよう」

など、不安も感じるのではないでしょうか。

「目標」を設定する意味がそこにあります。

最初から目指すは「ゴール」ではなく、例えば「まずは3㎞先を目指そう」「そこには何時何分には着いているようにしよう」その次は「さらに3㎞先に何時何分には着くように走ろう」…と「目標」を目印にして、私たちは遠いと感じる「ゴール」まで無事に確実にたどり着けるようになります。

さらに「ゴール」に着いたときの「ビジョン」として…例えばですが

「そのときの自分の身体の感じ、息づかい、足や腕の感じ、周りには誰がいて、どんな音が聞こえていて、どんな風景が見えていて、肌に感じる風はどうで、ゴールに着いた時何を思ったか、何を話しているのか」

と描いたとします。

このようなクリアなイメージを持つことで、私たちはモチベーションを維持しながら行動し続けることが可能になります。

達成したときばかりでなく「ゴール」や「目標」に到達するまでの過程も「ビジョン」を描く対象になります。

しかし、この「目標」が「誰かにやらされている」「やれと言われたからやる」という姿勢では、半ば強制に感じますから、良い結果につながりにくいのは想像に難くありません。

「自分で設定した目標だからやろう」と思って取り組むほうが、もちろん成果は上がります。
部下の自発性も自ずと発揮されます。

自分なりに試行錯誤をしながらアイディアを出し、やる気をもって目標を目指して行動し続けられるようになります。

そうなるためには、大切なことが一つあります。

それは、その「目標」が部下にとって、「ほんものの目標」なのかどうか、ということです。

「ほんものの目標」には、目的とビジョンが一緒に込められています。

部下にとって「見せかけの目標」と「ほんものの目標」をどのように観察してとるのかにつては、次回にお話ししましょう。