こんにちは。storyIの猪俣恭子です。
管理職対象の部下育成研修を担当していた時のことです。
休憩時間に質問にいらした方はこうおっしゃいました。
「“私に聞けばなんでもわかる”という人になりたい」と。
なるほど。
職場の中で誰よりも「知識」を多く持っていることで、「一目おかれる存在」になりたいそうです。
よくよく聞いてみると、同期の管理職は部下からとても慕われていて、「自分がその人より秀でるためには、その人よりも知識があることが重要だ」とか。
しかし、今のご時世では、なかなかそれは叶えられない思いです。
今、必要な知識など、すごいスピードで移り去っていきますから。
知識の賞味期限の短いことといったら、ありゃしません。
それを伝えましたが、本人は「でも…」。
どうも、受け入れたくなかったようです。
知識の蓄積よりも、探しているモノの探し方や学び方、どういう人にアクセスすれば聞けるか…といったネットワークのように、自由自在に「人やモノ」とつながれることのほうが、価値がある世の中です。
おそらくあの時の彼女は、勇気がなかったのでしょう。
「それは、私もわからないなあ」と正直に言えることに対して。
「本当はそう言えてしまったら、どんなに楽だろう」
と感じているかもしれません。
しかし、そういったら最後、部下は自分に永遠に仕事のことを聞いてくることはないだろうと怖れているのかも。
とはいえ、昔の自分の成功体験や知識が通用しなくなっていることのほうがたくさんあります。
今にいながら、「昔」をまとう古びた人になってしまうのか、時の経過をまといながらも、「今」と調和しながら生きる新しい人になっているのか。
あなたはどちらの人になりたいですか?
まずは自分がどちらよりになっているのか、自分で気づくことです。
どちらを選ぼうが人の自由でしょうが、私は「今と調和しながら生きる新しい人」になってほしいです。
相手、特に後輩や部下から質問されて答えられなかったら、
「ごめん、私もわからない。一緒に調べようよ。誰に聞くといいだろうね?(どこを調べるとわかるかな?)」
と、率直に、正面きって、明るい表情で、声のトーンも軽やかに言える人は、大きいです。
その大きさに人は安心感を感じます。
この人と一緒だったら「困難なことも乗り越えられそう」とささやかな勇気を持てるようになります。
それを信じてほしいなあ。
古びれた人?
今に生きる人?
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