こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

仕事は失敗しないように最善の注意を払いながら進めるものですが、それでも失敗してしまうことはあります。

そのときに部下は、落ち込みながらも「頑張ろう」と前向きに仕事に取り組んでいるでしょうか?
それとも、「自分はこの仕事に向いていない」と自信をなくし、おそるおそる仕事に取り組むようになっているでしょうか?

失敗した要因から今後の改善案を導きだすのは当然のことですが、後者のような取り組み姿勢のままですと、さらに失敗を重ねる可能性が高くなります。
それは避けたいことです。

部下には失敗体験を乗り越えて、自分の糧にしていってほしい。

そうなるために、あなたができることは何でしょうか?

ところで、あなたは「失敗」をどのように捉えていますか?

間違うこと、しくじること、やりそこなうこと、迷惑をかけること、信頼を失うこと、恥ずかしいこと、謝ること、反省すること、能力が低いと思われてしまうこと・・・。

こうした言葉が並ぶようであれば、「失敗したらそれで終わり、挽回はできない」と、「失敗」に対して怖れを感じるようになってしまうでしょう。

失敗してしまった時、あなたはおそらくこう思います。
「しまった! どうしよう」
不安と後悔ばかりがどんどん大きく広がります。

しかし、次のように捉えていたら?

「失敗」は多くを学べる成長の機会。
落ち込むつらい気持ちは、成長痛。

このように捉えられていたら、たとえ失敗したとしても、気持ちの切り替えはぐんと早いはずです。

反省をしても、同じ失敗を繰り返さないために自ら課題を見つけ、緊張感とともに気をひきしめて仕事をするようになるでしょう。

人の意欲や行動は、言葉の定義にかなり影響を受けています。
ならば、部下は「失敗」をどのように捉えているでしょうか。

失敗した自分を責めて萎縮するばかりの状態から、早く離れるためには・・・?!

このことを考えると、印刷会社で働いていた時のあるエピソードをいつも思い出します。

ミスが続いていた新入社員のHさんに、話をしようと声をかけた時のことです。
それだけHさんは相当落ち込んでいたのです。

「あなたの学校の先生が、言っていたよ。
『彼はじっくり型で、芽が出るまで時間がかかると思います。
でも、3年も経てば、絶対に御社の戦力になります』って」

Hさんは、視線を落として不安げな表情のままでした。

「私もそう思っているよ。
Hさんはうちの会社の戦力になるだけの力を持っている、って」

「でも、ミスばかりして・・・。
会社にも迷惑をかけてしまって・・・」

「まだ慣れていないから思うようにいかないよ。
私なんかこの仕事に慣れるまで2年はかかったし。
私がしたミスで、社長がお客さまのところに謝りに行ったのも一度や二度じゃなかったよ」

Hさんの顔がようやく上がります。

「それにね、今はサクサクと仕事してる先輩のTさんだって、半年くらい前までは、大変だったんだから。
みんな最初から今みたいに仕事ができたわけじゃないよ」

ようやく、Hさんはほっとした表情になりました。

ここで「よかった」と会話は終わりではありません。

ようやく取り戻したHさんの意欲は、この状態のままではすぐに下がります。
私は必死に考えました。

意欲から、行動を生み出すには?
意欲を、行動のエネルギーにするには?

「ねえ、Hさん。
過去に今と同じように上手くいかなかったことが続いた経験って、ある?」

「過去に同じような経験ですか?
うーん…」

Hさんの体験のなかに、今の状況を乗り越えるためのヒントはないかと探すための質問でしたが、なかなか見つからない様子。

「じゃあね、ミスしたことをうまく乗り越えている友人や先輩って、周りにいる?」

「うーん…
専門学校のときの友だちがいるので、今度会いますから、訊いてみます」

「そうだね。訊いてみるといいよ。
友だちがどんなふうにしているのか、あとで私にも教えてね」

週明けに、Hさんは早速教えてくれました。

友人は「ミスノート」を用意して、ミスをしたらそこに「起きたこと」「原因」「対策」を書いて、ミス防止のための振り返りをしている、と。

その日からHさんは、パソコンに正方形の付箋を貼るようになりました。
自分なりの点検項目をそこに書きとめて、作業の都度、チェックするようになったのです。

Hさんは、仕事を正確に間違いなく、しかも迅速に進めるためのやり方を、失敗体験から学びました。

失敗を扱えない人は、一生、右往左往します。

不安な人生です。
失敗を扱える人は、行動量が増えます。

どうしたら同じ失敗をしないで済むかと、状況対応力も高くなります。
人の器というのは、どれだけ「失敗」を乗り越えた経験があるか、に比例します。

失敗は、学び、成長できる機会。
だからこそ、部下に失敗する権利があることも、認めてしまいましょう。

失敗したら、本人がちゃんとそのことに向き合えるように促す。
失敗を活かせるようになるまで、見届ける。

あなたがそう関われば、部下はのびのびと仕事にチャレンジし、たとえ失敗しても目を見張るほどのリカバリーを見せてくれるようになるでしょう。