こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

あなたに最も影響を与えているのは、何だと思いますか?

それは、環境でも他人でもありません。
実は、あなた自身の心の内側で起きている「おしゃべり」なのです。

例えば、

「しまった」
「なんで?」
「また失敗した」
「めんどうだなあ」

など。

それらの「心のおしゃべり」は無数に、ものすごいスピードで流れています。

「心のおしゃべり」は私たちの感情と行動を大きく左右します。

緊張、不安、イライラ、不満などのようなネガティブな感情でいる時は、特にそうなります。

そのような時、私たちは感情に流されるままに反応してしまい、本来の自分らしさを発揮できずに落ち込みます。
「なぜ、あんな態度をとってしまったのか。もっと他にやりようがあったのではないか」と後悔することもあります。

そうではなく、理性で行動できるあなたになりたいのなら、この「心のおしゃべり」と上手につきあうことがとても大切です。

学生の就職支援をしていた頃の話です。
大学4年の女子大生・Tさんは、「面接対策をしてほしい」ということで相談に来ました。

面接官から想定外の質問をされると、頭の中が真っ白になって動揺する
特にグループ面接では他の学生と自分を比較して、焦ってしまう
その上、先日は最終面接で選考に落ちて、自信がなくなった

…と言います。

「面接の最中に、Tさんは心の中でどんなことを言っているの?」

「うーん。『うまく話せなかったらどうしよう。いいところを見せなくっちゃ』って言っているかな?」

「グループ面接で一緒になる他の学生は、Tさんにとってどんな存在なの?」

「ライバルです。負けたくないです。」

「じゃあ、面接官に対してはどう?」

「私のことをよく思ってほしいです。『優秀な学生って思われたい』そんなことを心の中で言っているかな。」

「面接ってTさんにとってどんな場なの?」

「戦いです!」

なるほど、Tさんは面接会場で他の学生や面接官と戦っていたわけです。

自分が勝ち残るように。
それでは緊張するでしょうし、上手くいかなかったらどうしようと、不安も感じて当然です。

そこで次のようにアドバイスしました。

「Tさん、人ってね、言葉が相手に伝わるというよりも、言葉という乗り物に乗って、Tさんの考えていることや思っていることが相手に伝わるんだよ。
だから、Tさんが面接官に『自分のことを優秀だって思ってほしい。いい印象を持ってほしい』と思っていることは、面接官に伝わっていると思う。
Tさんが面接官だったらどう思う?」

「なんだかコントロールされているようで嫌ですね。
じゃあ、どうすればいいんですか?」

「こんなふうに思ってほしいの。
他の学生は、『未来の頼りになる同期』だって。

面接官には、Tさんのほうからいい印象を持ってみて。

『この面接官は、普段はどんな仕事をしているんだろう』
『今までどんな大変ことを経験して、乗り越えてきたんだろう?』
『家庭では、どんな人なんだろう』

って」

「相手に興味を持つ、ってことですね。なるべくそうしてみます。」

数日後、Tさんから「内定をもらった」という連絡がありました。

「猪俣さんから教えてもらったように、他の学生は『未来の頼りになる同期』って思うようにしました。

そしたら不思議ですね。
「心のおしゃべり」が違ってきたんです。『一緒に頑張ろう』って。

グループ面接の時も、隣に座っている学生が答えている時、『頑張って』って心の中で言ってみました。
すると気持ちが落ち着いてきました。

だから今までよりもよく頷いていたと思います。

面接官に対しても、今までは『私が答えられない質問はしないで』とびくびくしていました。

けれども、『この面接官にも大変なことがたくさんあるんだ。この時間が面接官にとってもいい時間になるようにしよう』って心の中で言ってみると、とても話しやすくなりました。

それに内定の連絡をいただいた電話で、

『あなたがうちの会社でやりたいことがよくわかりました。一緒に頑張りましょう』

って言ってもらえたんです、ちゃんと伝えられたんだと思って、嬉しかったです」

Tさんは、「心のおしゃべり」を変えることで、自分自身の本来のよさを発揮し、望む成果を手に入れました。

あなたの「心のおしゃべり」は何でしょう?

その「おしゃべり」があなたに与えている影響を感じてみてください。

その影響は、あなたが望んでいるものですか?
それとも・・・?

次回は、この「心のおしゃべり」と上手につきあうステップをお伝えします。