こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

脳科学者の中野信子さんによると、「嫉妬」と「妬み」は明らかに違うそうです。

「嫉妬」は、自分が持っているものや、愛着を感じている誰かが、ほかの人に奪われた、または奪われることへの恐れ。
「妬み」は、自分にはなく、他の人が持っているものや人に対して、羨望や腹立たしさをいだくこと。

英語で言うと、嫉妬は「jealousy」で妬みは「envy」。

どちらもネガティブな感情として捉えられますが、「嫉妬」は生き延びていくために必要な感情で、「妬み(良性の妬み)」は成長するのに必要な感情だそうです。

ちなみに、「妬み」には、「悪性の妬み」と「良性の妬み」があって、悪性の「妬み」は他者の不幸を願い、良性の「妬み」は向上心につながる、と。

例えば、自分のほうが実績はあるのに、同期のあの人が部長に昇進した、納得できない。

ここで良性の「妬み」であれば、自分自身の課題を見つけさらなる知識やスキルアップをはかるでしょう。
一方、悪性の「妬み」であれば、その同期の足を引っ張ってやろうとする働きかけをするようになります。

深いですねぇ。

ちなみに、一般的に「嫉妬」は女性のほうが強く、「妬み」は男性のほうが強いそうです。

そういえば、女性の管理職から次のような相談をよく受けることを思い出しました。

「男性の部下で困っている人がいます。
今まではチームの一員同士、協力しながら仕事ができたのに、私が管理職になった途端、あまり話してくれなくなりました。
しかも、現場の情報を伝えてくれないこともあって、仕事がやりづらくて困っています」

という。

これこそ、悪性の「妬み」がそこにありそうです。
その男性の部下は、「嫉妬」「妬み」がなんたるかも知らず、無意識に悪性の「妬み」の支配下に置かれてしまっています。

「嫉妬」も「妬み」も自然な感情。
まず、自分がその感情を持った時に気づきことが大切です。

特に悪性の「妬み」の場合、その感情が暴走しないようにするためにも。

悪性の「妬み」から生まれた行動をとっている人に対して、周囲の人たちはよい感情を持ちません。
何よりも自分自身が一番苦しいはずです。

自分らしく健やかな気持ちでいるためにも、「嫉妬」や「妬み」に感じたことをリストアップすることはとても効果的です。

そうすることで、「事実」と「感情」が次第に区別できるようになり、自分はどう生きていきたいと思っているか、穏やかに向き合えるようになります。

さあ、少し振り返ってみましょう。

今、あなたが「嫉妬」にかられているものは何ですか?
「妬み」を感じているものはありますか?

その問いの先に何が見えようが、目をそらさないことです。

そうして見えた自分も、大切な自分自身。
真正面から受け入れて、両手で抱きしめる。

そんなイメージを持つことが、「嫉妬」「妬み」の囚われから自分を開放し、上手くつきあえるようになることの第一歩です。